魔恋奇譚~憧れカレと一緒に王国を救うため、魔法使いになりました
 それから二日間、私は同じ川のところで魔法の勉強を続けた。現実世界では私は電車の中で居眠りをしているはずだから、ゲームの中で数日過ごしたとしても、きっと現実世界ではあっという間の出来事なんだろうな。それならさっさとゲームを終わらせちゃって、目を覚ましたい。また前みたいに勇飛くんをこっそり見つめるだけの生活になるけれど、やっぱりここは本物の世界じゃないもの。

 とはいえ、ゲームを終わらせるには、王城に忍び込んで内情を探らなければならない。そうしておいて対策を考えるのだから、対策によっては戦いになったりするんだろうか。

「だいたいいつの世も暴君っているのよね~」

 私は世界史の授業を思い出しながらため息をついた。

 あ、いけない。脱線しちゃった。

 毎日がんばったかいあってか、生命エネルギーの消費の少ない初級魔法なら、続けて四つくらい使えるようになった。さらに、そこで栄養補給をすれば、あと二つくらい魔法が使える。でも、それ以上魔法をかけようと思うなら、やっぱり少し休んだり寝たりしないといけない。中級魔法、上級魔法はもっと大変そうなので、とりあえず体力と能力に見合った魔法だけ使うようにしようっと。

「魔法使いも大変だわ」
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