深紅の花に姫君《改装版》
男装のお姫さま

____________
_______
___



「スイラン王子よ!」

「まぁ、素敵ねぇ……本当にお美しい殿方ですこと」

「今日は私と踊ってくださるかしら!」



これは、薔薇の女神に愛された国、アルバンテール王国の花嫁探しの舞踏会。


先程からどこかの貴族の令嬢達が私を、じゃなかった。僕を見ている。


「長く艶やかな金髪に碧眼……本当に美しいわぁ…」

「それに、剣の腕前も立派だとか!完璧よねぇ~」



なんとも、居心地が悪い。
先に言っておくが、僕は、女だ!!


アルバンテール王国の姫は貴重であり、女神の再来と言われている。アルバンテールは薔薇の女神、アリアの愛により守られていると言われ、その女神の血を引くのが、アルバンテールの王族なのだ。


先々代はセレネリスばあ様、先代は私の母様、アスラーナ女王だった。


そう、全ては過去の話。
母様はもうこの世にはいない。


アルバンテールの姫は、あらゆるモノから狙われるからだ。アルバンテールの姫の宿命がそうさせる。











< 2 / 219 >

この作品をシェア

pagetop