空のギター
「──もしもし。」

「あ、頼星!結果来た?」

「……おう。」



 頼星は静かに言った後、フウッと息をついた。短い沈黙が二人を支配する。重みを含む「どうだった?」という雪那の言葉に頼星は、ややあって口を開いた。



「……俺“も”合格。」

「良かった!!
……って、何で私も受かったって分かったの?」



 歓喜の声を上げてから尋ねる雪那に、頼星は「声のトーン。何となく分かったんだよな」と答える。その声にはクスクス笑いが混じっていた。



「何それ。かなり説明不足だよ!」

「だって、付き合い長いし。それにお前が落ちるなんて初めから思ってなかった。」



 頼星がそれだけ付け加えると、雪那は満足したようだ。これも幼馴染みならではのことなのだろう。



「……そっか!小学生からの付き合いだしね。まぁ、私も分かるよ?頼星は機嫌が悪いとだんまりになる、とか!」



 いつものように自分をからかい始めた雪那に、頼星は受話器越しの言葉をかける。



「……雪那。」

「ん?」



 声がやけに落ち着いている。いつもと違う雰囲気を受話器の向こうから感じた雪那は一瞬躊躇った。が、いつも通りに聞き返す。
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