空のギター
「光夜……何か話したいことあるんじゃないの?俺達で良ければ聞くよ。」



 紘が微笑する。光夜は少し躊躇ったが、意を決したように口を開いた。



「……俺、みんなに知ってもらいたいことがあるんだ。聞いてくれるか?」



 出会って間もない彼らだが、光夜の纏う雰囲気がいつもと違うことに気が付いたらしい。四人がそっと頷くと、光夜は深く息を吸い、話し始めた。



「俺さ……両親の顔、知らないんだ。」

「……え!?」



 光夜の突然の告白に、四人は驚きを隠せなかった。光夜は驚かせて悪いと思いつつも、一度話すと決めたら最後まで通したかった。だから続けて口を開いた。



「物心ついた時には施設に居て……そこで一緒に育ったみんなや先生達が、俺の家族みたいなものなんだよね。」



 微かに笑う光夜は、四人の目には少しだけ悲しげに映る。光夜は暗くなった雰囲気を察知して、明るい方向に話を持っていこうとする。



「親のことは全然恨んでないよ。むしろ感謝してる。親が産んでくれたお陰で、俺は今、ここに居るんだもんな。」



 光夜はそう言うと、ふっと天井を見上げた。まるで、空に答えを求めているように。
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