俺様上司は、極上の男!?
19時には仕事を片付け、寒々しい夜気をかきわけるように歩いた。
待ち合わせのカフェは駅までの道のりの途中にある。
何度か朋子と寄ったことのあるチェーン店だ。カウンターでいつものシナモンラテを頼む。

待っていた朋子は私を見て弱々しく笑った。
そして、私がコーヒーを手に席につくなり、勢いよく頭を下げたのだ。


「もう、これ以上、つぐみちゃんを騙していられない」


朋子のテンションは初めからマックス。
目は涙でいっぱいで、俯いたそばから雫がぽたぽたとこぼれる。
普段、物静かで穏やかな朋子を知っている私からすると、この状況は異常事態だった。


「騙す?なんのこと?」


私は聞き返しながら、どこかで最悪の予想をたてていた。
もしかして……。


「私、裕太くんと付き合ってる」


「は……」

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