腹黒王子の取扱説明書
5、天使か悪魔か ー 俊side
医務室のドアをノックして中に入ると、懐かしい顔に出会った。

「亮?」

「ああ、そう言えば、ここ俊の親父の会社だったか?で、その子、どうした?」

こいつは前田亮。大病院の息子で実家が金持ち。

彼とは小学校から高校まで同じ私立の学校に通っていた。

クラスは違ったが、部活は同じバスケ部で高校の時はこいつと一緒にインターハイまでいった。

俺がキャプテンで、前田が副キャプテン。

亮は面倒見も良く、後輩からも好かれていたからチームをまとめやすかった。

俺から見ても良い奴だが、お節介なのが玉に瑕。

ちょっとメンドーな奴に会ってしまった。

「ちょっとガラスで手首を切った。あと、熱があるようだ」

「じゃあ、そこのベッドに寝かせて」

亮に言われるまま、目の前のベッドに彼女を寝かせる。

中山麗奈の手首を確認しながら、彼は手早く手当てしていく。
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