俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜

揺れる心

大会当日…
琴乃は憂欝な朝を迎えていた。


いまいち、気合いの入らない支度をして、
鏡に映った自分に一言。

「ヒドイ格好。」


そんな自分をマジマジと見ては、
こんな自分のどこが良いのかと考えたりもする。


あんなことのあった後だし、行かない方が善いような気すらしてしまう。


「行ったりしたら、期待させてしまうのでは?」


でも、慶太は、
「観てくれ!」と言っている。


「あたしが行かなかったら泳がないのかな?まさかね!」

(でも、あたしに観せるつもりで、自己ベストでも叩き出せたりして!そしたら凄いなぁ。あれ、そしたら、認めなくちゃならないのかぁ?)


色々と考えた結果。


「あとで、なんとか言い包めればイイっかぁ!」


琴乃は会場へと向かった。



会場は懐かしい匂いがした。


自分の母校にも目を向けながら、
回りを見渡してみれば、
見覚えのある顔が目についたりする。



そして、遂に慶太の名が…

その時、琴乃のそばに居た者達の会話が、耳に飛び込んできた。

「〇〇高の寺岡って?」

「ああ、兄弟だって!」


(わー、駿のことかぁ。…慶太君は、いつもこんなプレッシャーの中にいるんだ。)
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