俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜
第四章 俺の言い分

男心と夏の空

慶太にとって、
人生で、これほどにも屈辱的な日は、二度と無いだろうと言える…

いや、そうであってほしいと願う、
あの県大会の日、以来

琴乃とは、
連絡さえもとることは無かった。


正確に言えば、

あれから何度か、街で見かけたことがあったのだが、

失恋の傷の癒えぬ今は、
まだ、面と向かって会うことができず、

つい、今、来た道を引き返したりしていた。


(もしかしたら、自分が気付いていないだけで、
琴乃も同じことをしているかもしれない)と、想像しては、
そんな自分に苦笑していることがある。


(いつまでこんなこと続けなきゃなんないんだ?)


地元が同じだから、こればかりはしょうがないが、
そのたびに
兄への敗北感にさらされ、
やるせなさでいっぱいだった。


まだまだ、残る夏休みは、
水泳部に顔も出さず、
バイトとサーフィンに明け暮れる毎日。


スポーツ推薦で入学したわけではないが、
顧問の先生が心配をして、何度も電話をくれたようだ。

が、

兄と同じ、この高校を選んだ時の意気込みは、どこかへ行ってしまっていた。


「俺らしくやってくか!」

“頑張ったとこで、やはり兄には適わない。”と、
高校生活を半分残して、そう悟った慶太にとって、

あれは、生まれて初めての、愛の告白だったのだ。


「早く女つくるべ!」
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