俺の言い訳×アイツの言い分〜あの海で君と〜

メル友。

琴乃の髪が伸びることは、
冬の季語として、
仲間うちで定着していた。


中弛みの中2の冬…
何の緊張感もない、この時季に

琴乃は、“せつない気持ち”と言うのが、
どんなものなのかを知った。


冬には、陸での活動となる水泳部と違って、

駿祐は、一年中、泳いでいる。


本人の口から、
“選手権”とか、“強化訓練”という言葉を聞くと、

レベルの違いを思い知らされた。


確かに、大会が近づくと、
学校で、姿を見かけない日があるし、
参加できなかった行事もあり、

そんな駿祐が、琴乃の目には、
“孤独”に映つって見えることすらあった。


いつだったか、
琴乃が、同情の言葉をかけた時、

「俺には、これしかないから」

と、あっさり、言い返されたが、

そうは言っても、
勉強の成績だって良い方なワケで…


駿祐と自分を比べてみては、

「次元が違いすぎる」と

ただただ、落ち込む琴乃だった。



プールサイドで会うことのなくなった駿祐と

隣のクラスで授業を受ける琴乃の距離は、

それ以上のものを感じさせる、なにかがあった。
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