無理矢理繋いだ赤い糸
本当はドレスの形からいったら髪をアップにした方がいいと思ったんだけど、まるで最初から分かっているかのように、髪は下ろしたままで行けよ、と彼に言われてしまったのだ。
本来私は、人の言い成りになんかなるタイプじゃなかった。
だから、遠い昔、カリスマ性だかなんだか知らないけれど、クラスを仕切る柊悠也という男が嫌いだったのだから。
それなのに、今の私は、彼の言い成りに近い。
理由を上げればいろいろあるのだが、まず弱みを握られている事。
そして束縛される喜びを感じてしまった事を、彼にあっという間に見抜かれてしまった事。
彼が一般的に言われるドSである事。
そして一番厄介なのが、惚れた弱み、である事。
結局のところは彼と婚約までしているのだから、多少面白くないという気持ちはあったとしても、そういう態度とは裏腹に、本心では喜んでいるのかもしれない。
(私と彼を良く知る職場の友人には、見かけによらずあんたはドMだ、と宣言されてしまったんだけど)