「秋人(あきと)おじしゃま、あれなあに?」

「あれは、星だよ。宇宙にたくさんある宝石なんだ」


流星群が見えるという冬の夜。神社で幼いあたしを肩車した秋人おじさんは、笑ってあたしの首にひとつのペンダントをかけてくれた。


「これ、なあに?」

「これは、和(なごむ)のお守りだよ。なにか困ったことがあった時に、きっと助けてくれる。だから、絶対手放してはダメだよ」

「だいじなもの? うん、なごむ、だいじにする!」

「和はいいこだな。きっと将来は素敵な女性になれるよ」


そう言って高い高いしてくれた秋人おじさんは、とても優しく笑ってくれた。


そして……


その3年後に、突然行方不明になった。







そして、それから10年以上後の現在。モスグリーンの制服を着たままエプロンをしたあたしは、古びた家の中で一人走り回ってた。


「おい、鍋が噴いてるぞ。それと朝刊とグレーの靴下どこだ?」

「はい、はい! 今行きますって。朝刊はダイニングテーブルの上で靴下は二段目の引き出しに入ってます」

「ちょっと、アタシの赤いブラどこやったのさ。今日はトシとデートなんですけど~?」

「ブラならいつもの引き出しに入れて……あちちっ!」


やば、お味噌汁なのに煮立て過ぎた。絶対香りがとんでるな、とげんなりする。


あのおっさんも、鍋が吹き零れてるのを見たなら、せめて火を止めてくれたっていいのにさ! と心の中でだけ文句を言っておいた。


朝のキッチンでバタバタと慌ただしく動いてるのはあたしだけ。毎朝のことだけど、一ミリも動こうともしない義理の家族にはホントに呆れるわ。


……ま。こちらは未成年だし、“一応”高校生として後見してもらってる立場だから、まだどうしようもないけどね。

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