どうやら皇子様の計らいで、部族長のお家に泊まらせて貰えることになったみたい。


あたし自身は何もしてないし、何の力もないから申し訳ないのに……部族長すらあたしにへりくだった接し方をしてくる。
その家族や他の村人たちも同様、恭しい態度で。逆に恐縮してしまうってば。




「……どっかの小屋の隅っこでもよかったのにな」


ため息を着いてあたしは部屋を眺めた。


四畳半ほどの広さの部屋は、日本ではきっと狭い方だろうけど、三畳間で暮らしてたから十分なスペースだ。たぶん、ここは部族長が使う一番いい部屋なんだろう。白い石造りの壁に床は色彩豊かな織物が敷かれてる。簡易的だけど、ベッドまであるよ。こんな贅沢しちゃっていいのかな?


皇子が使うべきと言い張ったあたしの主張は聞き入れてもらえず、皇子は同じ家の妻の部屋を使うらしい。ふつう逆じゃない? と思うけど、決まった以上は仕方ない。遠慮なくベッドに腰かければ、すこし硬いけど悪くない布団の感触に懐かしくなる。


「は~……あたしが巫女って。何の間違いじゃない? こんなふうに祭り上げて、後で人違いでしたってなったらどうするのよ」


ぶつぶつ文句を言いながら、ぽすんとベッドに横になる。何日ぶりだろう……いつも地面に直に寝てたからあちこちが痛くなってたけど、久しぶりにちゃんと眠れそうだ。


にしても……


「これから……どうなるの? あたし、ちゃんと帰れるのかな?」


芹菜はきっと心配してくれてるだろうけど、義家族は怒り狂ってるだろう。便利な家政婦がいなくなったから。それを思うと気が重くなる。


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