異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
最終関門~あなたは……







風が、頬を撫でている。


草原の花畑に座って花を摘むと心が安らぐ。


「いい香り……」


この香りは大好き。何だか胸があたたかくなるから……。


「ナゴム、そろそろ風が冷たくなるから家に入らないと」

「ええ……そうね」


わたしが頷くと、ポコッと内側からお腹を蹴られた。


「あらあら、天使ちゃんはご不満みたいね」


そっとお腹を撫でると、ロゼッタさんも笑って肩を竦めた。


「それもそう。ナゴム、おてんばだったから。赤ん坊もやんちゃ違いないよ」

「……そう……わたし、そんなに活発な人間だったんだ」

「そう! ナゴムはいつも明るくて、ぐいぐいみんなを引っ張ってたよ」


落ち込みかけたわたしを気遣ってか、ロゼッタさんは肩を軽く叩いて励ましてくれた。


「いつかまた思い出せる。だから、くよくよするより。もっと楽しいこと考える。もうすぐ生まれる赤ん坊に良くないよ」

「……うん、そうだね」


赤ちゃんはあと半月で生まれそうと言われてる。それまでは安らかに過ごさないと……と自分に言い聞かせた。


けれど、不安になる。


わたしは、本当にここにいていいのかと。


記憶も何も失ったわたしはここに相応しいのか……と。




< 865 / 877 >

この作品をシェア

pagetop