ハロー、マイファーストレディ!

☆ 蝶が羽ばたくとき(瞳目線)


彼女に初めて会ったとき、
わたしは言葉が出なかった。

本当に美しいものに出会うとき、
人は言葉が出ないものだと知った。

彼女はまるで、羽ばたく前の蝶そのもので。
その美しさの前に、皆がため息を吐いた。

だが、彼女が羽ばたく前に。
嵐がやってきて、全てを吹き飛ばしてしまう。

彼女は外の世界へ華々しく羽ばたくことをやめ、その羽はひっそりと仕舞われたまま。
蝶は、再び傷つくことを恐れ、静かに生きていくことを望んだのだ。

でも、彼女はひょんなことから、再びその羽を広げることになる。
彼女を決意させたのが、暗い過去へのリベンジだったとしても。

それはそれは美しい羽で。
やはり、私は思わずため息を吐いた。

そして、どうしても。
願ってしまうのだ。
この羽で、蝶が飛ぶところを、見てみたい。

蝶が、美しい羽を羽ばたかせる瞬間を、私は待ち望んでいたのだ。
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