初恋も二度目なら
二重人格?二重生活?
私たちは、お互い言葉もなく見つめ合った。
たぶんその時間、数秒ほど。
でも私には永遠と思えるくらい、長く感じた。

「・・・メガネはどうした」
「え。っと・・・」


うっ。部長の鋭い睨みが、抑えた部長の声が!こわーい!!
私の場合、コンタクトをつけていることが有罪なんでしょうか・・・。

怖気づいて一歩後ずさった私を、部長はあっという間に追いつめただけじゃなく、私の二の腕を、その大きな手でガッシリ掴んだ。

「わっ!ぶ、ぶちょう、落ち着いて・・・」
「なんでメガネかけてねえんだよ!おまえは目ヂカラ強えから、裸眼じゃダメだと言ってんだろ!」
「で、でも、私の場合、厳密にはコンタクトをつけているから、完全な裸眼じゃないです」
「コンタクトの方がレンズ小さい!目全体覆ってねえ!ったく、理屈こねてんじゃねえよ、どアホッ!」
「そんな・・・理屈をこねているのはあなたの方じゃないの!」
「ぁ?んだとぉ?」
「大体、なぜ私はコンタクトをつけちゃいけないのよ!それより、なぜ、あなたが私に命令するのよ!」
「・・・見せたくない」
「は?意味分かんない!」
「俺としては、おまえがメガネかけてる方が安心すんだよ!」
「な・・・んで?」
「おまえがキレイだと気づくヤツは、一人でも少ない方がいいから」

< 110 / 256 >

この作品をシェア

pagetop