「ちょっと部長っ!手を離してください!」
「すみません。おしぼりと乾いたタオル一枚・・・ありがとう」

もう!部長ってば、私の言うことを全然聞いてない!

思いきり睨んだ私の視線を、部長は真正面から堂々と受け止めている。
ハンサムな顔に、どことなーく笑みまで浮かべて。
なによ、この余裕は!

「ほら、これで拭け」
「ちょっと部長・・・一体・・・いきなり私にお水ぶっかけて・・・」
「ぶっかけてない。かけたんだ」
「似たようなもんでしょ!とにかく、なんでそんなことをしたんですかっ!これ、お気に入りの白いズボンだったのに・・・」
「俺は川端からおまえを救ってやっただけだ」

濡れた部分におしぼりを軽く叩くように押し当てていた私は、その答えについ手を止めて、部長を見た。

「・・・は?」
「あの野郎はおまえに気がある」
「なっ・・・川端くんとはおしゃべりしていただけですよ。大体、川端くんとは同期で、事務担当にもなったし。普通に仲良くしてどこが悪いのよ」

最後のほうは、なぜかゴニョゴニョと言い訳めいた口調で言いつつ、私は乾いたタオルで、ズボンの濡れた部分を押し当てるように拭いた。

・・・なぜ私は、自分に力入れてるんだろう。
向ける相手が違うんじゃないの?


この作品のキーワード
30代の恋愛  初恋  元カレ  婚活  エリート上司  双子  純愛風  ときめき  かなり俺様  見返す 

感想ノートに書き込むためには会員登録及びログインが必要です。