初恋も二度目なら
恋と愛のはざま 
「ぶちょう・・・」
「ん」

部長は気だるげに返事をしながら、私の髪をつまんだり梳いたりしている。

「社内の人たちには、自分たちのことを話すなって言っておきながら、部長は社内の人に話してたじゃないですか」
「あ?」
「あのとき・・・角さん、今は角課長だけど。“心身ともに重く感じる”って・・・それに、角課長に結婚する気は?って聞かれて、“全然ない。潮時かもな”って・・・言ったでしょ」
「ああ・・・・・・。悠希にもだが、俺はおまえとつき合ってるとは言ってないし、角も俺があの時、おまえと・・・社内の女とつき合ってたことは知らなかったはずだ」
「じゃ、単に“おつき合いをしているカノジョがいる”ということだけ知ってた、ということ?」
「ああ。あんとき俺は31だ。カノジョがいてもおかしくないだろ」
「もちろん!」

部長なら特に。
常にカノジョがいてもおかしくないと思う。
でも・・・。

「聞いてたのか、あのときの話」
「きっ、聞こえてしまった・・・んです」
「そっか・・・それでおまえは“別れよう”って・・・。そっか」

と部長はもう一度言うと、部長の肩あたりを枕にしていた私の顔を上向けて、唇に熱いキスをしてくれた。

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