女子にしては背が高くておデブなことは、私のコンプレックスだった。
外に出るとムダに目立ってしまう気がして、いつもうつむいて歩いた。
後ろ指をさされているような、からかわれているような、ヘンな視線を浴びてる気がした。
とにかく、私は長峰さんみたいに、自分という存在に圧倒的な自信なんて微塵も持ってなかったし、自分のことが好きじゃなかった。

特に外見は。

でも長峰さんと一緒にいるとき、私は自分が大柄でおデブな女とは感じなかった。
むしろ、自分がとてもキレイな女だと思えた。
長峰さんと一緒にいると、背が高いことも気にならなかったのは、身長170センチの私より、彼の方が10センチほど背が高かったからかもしれない。
それでも、もし長峰さんが私より背が低かった場合でも、身長差のことは気にならなかったと思う。
だって彼は、私よりもはるかに壮大で、自信に満ち溢れている心を持っているから。

長峰さんとおつき合いしたおかげで、私は自分の外見に少しだけ自信を持てるようになった。
だから彼があのとき同僚に言った、「心身ともに重く感じる」という言葉は、私の心に深く突き刺さった。

彼がそんなことを思っていたことが、正直ショックだった。
しかも私本人じゃなくて、同僚の人にそんなことを言ったことも、ショックに拍車をかけたと思う。

長峰さんは、私には「重い」なんて言ったこと、一度もなかった・・・。
言いたくても言えなかったのかな。
気を遣わせていたのかな。
“アレ”のとき、よく私を上に乗せていたけど、本当は「しまった!重い!」って思ってたのかな・・・。

どっちにしても、私は「重いんだ」ということにショックを受けた後、沸々と怒りが湧き起こった。
好きな彼がそんなことを思っていたことが、だんだん癪に思えてきた。

「・・・だったら軽くなってやろうじゃないの」

少なくとも長峰さんには、そんな風に思われたくない・・・ううん。
あの人のことはもういい。

本当は、長峰さんと別れた後、会社を辞めることも考えた。
だって、毎日じゃなくても顔を合わせるのは辛かったし、偶然でも会う機会を減らすには、やっぱり会社を辞めたほうがいいと思ったから。

でも次の就職先も決まらないまま、フリーターや無職で過ごすなんて、現実的には無理だ。
それに両親を説得して、就職したのを機に、やっとひとり暮らしをすることができた身としては、「失恋して会社辞めてお金ないから」という理由で、実家にホイホイと帰って住み込むことはしたくない。
両親だって普段倹しく暮らしているんだから、いい大人になった私を、一人娘だからと言って迎え入れることはしないと思う。

加えて、肝心の長峰さんがアメリカ支社へ行ってくれたこともあって、社内はもちろん、国内で顔を合わせることは、まずない。
だから私は会社を辞めなかった。

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