嫌われ者に恋をしました*エピソードplus

(2)婦人会的な何か


 ドイツに来て2か月がたち、ドイツの生活にようやく慣れてきた私は、1か月前のホームパーティーで斉藤支部長の奥様にお誘いされた「婦人会的な何か」に向かっていた。

 その婦人会的な何かは斉藤支部長のお宅で開かれるとのことで、どうやらみんなでお食事を作って食べるという会らしい。

 正直あまり気は進まない。人付き合いは得意じゃないし。得意じゃないというより、苦手。

 でも、行くと約束してしまったし、参加する人もたくさんいるみたいだから、その中に埋もれていればいいかな、などと思っていた。

 うかがった斉藤支部長のお宅はとても大きかった。台所も大きくて、この間行ったシュルツさんの家よりずっと大きい。家の中に入ってからもずっとキョロキョロしてしまった。

 どんどん参加者が来たけれど、みんな日本人だからちょっと安心。

 この間ご挨拶した阿久津課長の奥様も来ていたから会釈をすると、向こうもにっこり笑ってくれた。相変わらず綺麗な人。

 結局「婦人会的な何か」は、15人くらいの奥様が集まって日本料理を作る会だった。

 ドイツにいるとじゃが芋とかヴルスト(ソーセージ)ばっかりなのよね、とみんなで話して、天ぷらとだし巻き卵とほうれん草のおひたしを作った。

 まあ、確かに日本食は懐かしい感じ。天ぷらなんて私は家でよく作ってるけど、みんなは作らないのかな?

 そんなことを思いながらなんとなく参加していたけれど、ほんの少しだけ気になることがあった。
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