嫌われ者に恋をしました*エピソードplus

 右も左もわからないドイツの生活に慣れるのに精いっぱい。その上、元々一人が苦じゃない性格も手伝って、すっかり閉じこもった生活に甘んじていた。

 私たちが住んでいるマンションは10階建てで、地下は2階まである。

 マンションに地下があるなんて、最初は驚いた。地下には倉庫と洗濯室、それから小さなプールもある。そして洗濯室には各家の洗濯乾燥機が並べて置いてある。

 みんなわざわざ地下まで降りてきて洗濯をする。なぜ自分の家に洗濯乾燥機を置かないんだろう??

 ちなみに、バスタブが置いてあるバスルームの床はあんまり濡らしちゃいけない。たくさん濡らすと下の人の家に水が漏れるらしい。だから、日本みたいに湯船からお湯をあふれさせたりしたら大変なことになってしまう。

 小さなシャワールームがあるから、いつもそっちを使っていて、今のところバスタブを使ったことはないけれど、何のためにバスタブがあるんだろう??

 それに水道水はカルキがすごいから、カルキ掃除専用の洗剤が売っていたりする。

 うーん、見ること聞くことわからないことだらけ。毎日が驚きの連続。

 それでも家の片付けが落ち着いた頃には、こっちの生活にだいぶ慣れてきた。時々ミノリちゃんに連絡して近況を報告し合ったり、本を読んだり。

 私が作ったご飯を隼人さんは毎日美味しいって言って食べてくれて。閉じこもっているけれど、これはこれで幸せな毎日。

 でも、実はずっと気になっていることがあった。
< 2 / 134 >

この作品をシェア

pagetop