コンプレックスさえも愛されて。



「私だって……彬さんとずっと一緒で嬉しいんですよ?」

思っている事を言葉にして伝えるのは凄く難しい。
照れくさいし、恥ずかしいし、柄じゃない、って思ってしまうし。


でも、彬さんはストレートに想いを伝えてくれるから、それが嬉しいから、私も見習わなきゃって思ってる。




「…沙耶香」
「はい?」

急に呼び掛けられて彬さんの方を向けば、髪を撫でていた彬さんの手が私の後頭部を引き寄せて ――― 。






「…沙耶香真っ赤」
「だって、彬さんが…」

信号が青に変わって車がゆっくりと動き出す。
からかうように言って笑った彬さんにもう、と怒ったフリをしながら、私は窓の外に視線を移すようにしながら、今彬さんが触れた唇にそっと指先で触れた。





彬さんとずっと一緒にいられるのが嬉しい。
その言葉には嘘も、偽りも何もない。



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