【超短編 04】カキ氷とストリップ
【短編】カキ氷とストリップ
「だから、あいつは氷砂糖のことをかき氷と勘違いしてたんだよ」
と彼女は言った。僕も彼女の言わんとしている事はよくわかる。
 10年ちょっと前、僕はそいつと浅草に遊びに行った。まだ二人とも中学生だったから電車で1時間もかけて行くところは全て大冒険だった。その時の最終目的地はストリップ劇場でお宝はもちろんストリップだ。
 僕もそいつも背の高いほうだったから、うまくやれば絶対に入れると自信を持って浅草の駅に降り立った。意気揚々と改札を出た時間はまだ朝の9時を回ったくらいで、思春期の先走りすぎた行動とはいえ、いくらなんでも早く着き過ぎたことにその時改めて気がついた。
 どんなに早くてもストリップが始まるのは夕方からくらいだろうと決め付けた僕らはとりあえず浅草寺にお参りをすることにした。風神と雷神に挟まれた大きな提灯に感動し二人で記念撮影をした。持ってきたカメラはもちろん他の目的のためだ。裸の写真を隠し撮りして同級生に売りつける計画だった。
 仲見世はお祭りのようで、カメラの所持者であった彼は興奮して何度もシャッターを切った。そして浅草寺に付く手前でフィルムがなくなった。
僕は彼のいい加減さに腹を立てたが一緒になって撮ったり撮られたりしていたことを彼に指摘され口論はそこで終わった。お参りを済ませてしまうとすることが無くなってしまった僕らは目的の場所を確認して作戦を練り直すことに決めた。
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