クールな先輩の心を奪う方法

⒈ダメダメ初心者OL

「簿記検定二級、英検一級、漢検二級、極め付けは秘書検定二級。これだけ資格持ってるのに、なんでお前はこうも仕事が出来ないんだ、佐々木」

出来上がりの書類を見て、盛大な溜息をつく部長。

「…すみません。…役立たずで」
そう言って、シュンとする私、佐々木美雨。

「…全くだ。もう一度確認、再度書類作成。出来るまでは帰るなよ」

「…はい」

今日これで何度目か。
部長のダメ出しくらうのは。

私は力なくデスクに座ると、パソコンに目線を向けた。

「…頑張れ佐々木ちゃん」

「…安藤さん」
安藤聖(あんどうひじり)。
私のデスクの横にいる、優しい先輩。
何時も、私を影ながら応援し、助けてくれる。

「あ〜、またここでミスったのか。これはな…」

「佐々木甘えるな、自分でやれ」
私達の頭上から、そんな声が聞こえてきた。