クールな先輩の心を奪う方法

★★★

2人とも仕事を定時に終わらせ、オレと美雨は共に会社を出た。

そんなオレたちを、大地は物言いたげな顔で見ていたが、美雨はそれに気づいても、そちらを見ることもしなかった。

…美雨は、大地を好きなはず。
付き合い始めたはずなのに、一体何で、美雨がこんな行動に出るのか、サッパリ理解できなかった。

「…ありがとうございました。私はここで」
そう言って頭を下げて、美雨は行こうとする。
でも、行かせられないと、美雨の手を掴んだ。

「佐々木、待て」
「…ごめんなさい、今は、1人になりたいんです」
そう言って、泣きそうなのを必死に堪えながら、笑って見せる。

それが痛々しくて…

「1人になんて出来ない」
「…ごめん、なさ」

美雨はオレの手を振りほどいて、走って行ってしまった。
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