本気の恋をしようじゃないか《加筆修正版》
私の顔がカッと熱くなる。
だめだめ!この笑顔に騙されちゃダメ!と自分に言い聞かせ首をぶんぶん横に振った。
「大丈夫・・重くないから・・・」
小牧君の好意を冷たく拒絶しそのまま歩き出す。
だが、小牧君は私の前に立ち歩きを止めた。
「ねぇ・・・最近俺を避けてない?」
ばれてる!
でも何で私なんかが避けている事を小牧君は気にするの?
もしかしてみんなの人気者でいたいから?
嫌な思いしか頭の中に浮かんでこない。
「避けてなんか・・・いない」
この場から早く逃げたくて嘘をついた。すると小牧君の大きなため息が聞こえた。
「あ?あ、やっぱ・・・香坂さんって、つっちーが好きなんだ」
つっちーとは辻先生の事だが、なんでそこで先生の名前が出てくるのか私にはわからなかった。
「別に好きじゃないです」
ちょっと人気のある生徒や先生と一緒にいるだけで好きだとかデキてるだとか憶測だけが先走りする。
小牧君も他の人と同じ事思っていたんだ。
分け隔てなく付き合う小牧君だったらそんなこと考えたりしないと思っていただけに正直ショックだった。
小牧君はバツの悪そうな顔をしながら自分の頭をワシャワシャした。
「ごめん。でも最近俺とは視線もあわせないくせに、つっちーとは普通に冗談言ったり話をしたり・・・手伝ったりしてるから・・・なんか・・・ちょっとイラッとして・・」
え?なんで小牧君がいらっとするの?訳わかんない。
驚いて小牧君の顔を見ると顔がほんのり赤くなっているもんだからさらに驚いてしまった。

すると小牧君は私が持っていたノートの束を奪う様に取った。
「これ、つっちーのとこに持っていくから・・そこで待ってて!帰っちゃだめだよ!」
そういうとダッシュで職員室へ向った。
私は何が何だかわからずその場に立ちつくした。 
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