本気の恋をしようじゃないか《加筆修正版》
「授業で使う資料なんだけど、ちょっと数が多くて」
この手の雑用をよく頼まれる。
「なんで?」
「ん?」
「なんで、いつも私にばかりに頼むんですか?他にもやってくれそうな人たくさんいるじゃないですか」
昼間のクリスマスの事で何となく沈んでいたから正直早く帰りたかったのに
「他の奴だと適当にやってんじゃないかとか気になっちゃうんだけど、香坂はいつもやることが丁寧だから安心して頼みごとが出来るて言うのが理由なんだけど・・・それじゃダメか?」
そこまで言われたら断れない。
「じゃあ・・30分だけですよ」
「助かる!じゃあ今必要なもの持ってくるから・・・」
先生が急ぎ足で教室を出ると香織がニヤニヤした顔で近付いてきた。
「ね~~。つっちーってさ~もしかして杏奈の事好きだったりして」
「はぁ?何言ってんの?そんな訳ないじゃん。」
「そうかな~~だっていっつも香坂、香坂って横に私らがいても 頼みごとは杏奈だけだよ。絶対怪しい!杏奈は何とも思ってないとしてもつっち~怪しい~」
そうやって疑うのは辻先生が独身だからなのだと思うけど、みんなちょっと話をしただけで恋愛に持っていきたがる。
「何言ってんの?私は30分経ったら即帰るし」
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