本気の恋をしようじゃないか《加筆修正版》
2人だけのクリスマス
勢いで作ってみたけど喜んでくれるかな?
出来上がったモスグリーンのマフラーを握りしめ立ち上がる。
そして姿見の前に立ち、出来上がったマフラーを首に巻いてみた。
出来上がるまで何度このマフラーを首に巻いただろう。
編んでは巻いて、長さを確認して再び編んで巻くを何度も繰り返した。
私の身長からしたらこのマフラーはかなり長い。
でも小牧君は私より15センチ以上高いからこのくらいでいい…はず。
何度も何度も自問自答しながら私は出来上がったマフラーをラッピングした。
「できた・・・」
時計を見ると約束の時間まであと1時間。
今から急いで準備しないと!
私は昨日の夜、何度も服を当てながら決めた服に着替えた。
普段、制服以外あまりスカートをはかない私だけど、今日は少しでも大人っぽく見えるようにと頑張ってこーでしたのは、霜降りのふわっとしたモヘアのセーターに黒の短めのフレアスカート。
メイクは自信がないので少し濃いめのリップを唇に塗る。
普段薬用リップしか塗らない私はちょっと大人な気分。

親には香織の家でクリスマスパーティーをしてそのまま泊ると言ってある。
こんな嘘をつくのは生まれて初めてだ。
小牧君と付き合う様になって、帰宅時間が1年の時より遅くなっる事を母は心配していた。
もちろん私が小牧君と付き合っているなんて知らない。
図書館に行って勉強したり、友達とおしゃべりしていると言ってある。
だから勉強は頑張った。成績が下がらなければ多少帰りが遅くなっても必要以上にがみがみ言われないから。

「気をつけてね」と言う母に罪悪感を感じながら私は家を出た。
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