本気の恋をしようじゃないか《加筆修正版》
何も言わずのさようなら
「それで?!どうなったのよ!」
私の話を聞いていた美和が話の続きをせかす様に詰め寄ってきた。
「う~~ん。走った?」
「はあ?!…どういう事?」

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見ちゃいけないものを見た時ってその場から離れることが先決なのかと思った。
私が見てしまった事をあの2人は知らない。
だけど私は見てしまった。
小牧君と城田さんがキスしているのを……
しかも上半身はブラだけだ。
あれは絶対キス以上の事をしていたに違いないと思った。

心臓は飛びだしそうなほどバクバクしているのだけれど
それは思いっきり走ったからのバクバクじゃない事は自分が一番知っていた。
静まれ鼓動……そう思うのだけれどなかなか静まってくれないし足も止まらない。
落ち着いて、落ち着いて…
呪文のように心の中で言い聞かせるが走らずにはいられなかった。
もちろんバスになんか乗るなんて事も頭から完全に離れていた。
いつも待ち合わせしている公園も思い出があり過ぎるから走るスピードを上げる。

早く公園を通り過ぎて!もっと速く走ってよ!
そう思いながらとにかく全力疾走した。

そしてバスの停留所3つ分くらい走ったところで私は
膝に手を乗せ背中で息をした。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
目尻の少し下のあたりが突っ張るのは涙が乾いたせいだろう。

大きく深呼吸をして初めて気づく
「あっ・・・カバン学校に置きっぱなしだ」

そしてフラッシュバックされるあの光景を思い出し泣き笑った。
「やっぱり私は単なる冷やかしかきまぐれだったんだ・・・」
悔しいけれど、あの二人はお似合いだ。
美男美女・・・どう考えても
私と小牧君じゃバランス悪過ぎじゃん。
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