片道キップを二人分
真実

***



「本当は…好きでもどうしようもねぇんだ、って自分に言い聞かせてきた。俺は…お前が俺のことを好きだって認識するよりずっと前から…子供の頃からお前が好きだったよ」

ポツポツと話し出した斗真の言葉を、信じられないような気持ちで聞きながら、確かめるように斗真の様子を窺った。
すぐに目が合って、斗真の手があたしの頬を包むようにしながら、その親指で涙を拭っていく。




今まで、あたしが泣くと斗真は、ぶっきらぼうに自分の肩にあたしの後頭部を引き寄せてくれた。
もしくは、照れ隠しのように、自分のシャツの袖や裾で、あたしの目許をゴシゴシと擦るのだ。



こんな風に優しく、斗真の指先があたしの涙を拭ったことはない。
きちんと女の子扱いをしてくれる斗真に、今までとは違う、確かな変化を感じ取った。


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