恋日和 〜キミに届かない恋でも〜

・ 咲かない桜

《Riko》





眠るたびに怖くなって。
だから、夜は好きじゃない。


だけど窓から入り込む白い光で目がさめると、すごくスッキリする。
朝が来たって変に喜んじゃう。



小さなときからずっと心臓が悪くて、入退院を繰り返して。

でも、16歳まで生きられるかわからないって言われたときからずっと、いつか来るんじゃないかって覚悟してた。



きっと、その〝いつか〟はもうすぐそこなんじゃないかって。
だから、夜眠るのが余計に怖い。


いまごろ、希子は結果発表かなあ。
そう思って、窓の外に向けていた視線を、足のうえに置いていた携帯に戻す。



ちょうど1週間前にあった公立受験、希子は『むずかしかった……』ってうなだれていたけれど。
いつもがんばってたから、きっと平気。


< 117 / 309 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop