恋日和 〜キミに届かない恋でも〜

・ いつもどおり

《Kiko》





まだ少し寒いのに、背中には汗をかいている。
息が上がりながら、ドアをノックして病室に入る。


すると、ベッドのうえで莉子は体を起こして、あたしに気がつくと微笑んだ。



4つのベッドが並べられた病室だけど、右奥のベッド以外は空いていた。
だから、個室な感じに見える。


この病院の空気が嫌い。
怖くなって、病院にいるだけで涙が出そうになる。



「莉子……」



いままで寒いところにいたから、温かいところにくると、なんだか変な感じがする。


希子のベッドの横にある椅子に座ると、莉子は眉じりを下げて笑った。



「希子、迷惑かけてごめんね」

「迷惑なんて、そんなことない!」

「ううん。 駆けつけてくれて嬉しいけど、ごめんね」



……どうして、莉子が謝るの。


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