平成26年 12月10日

こんなこと、誰かに知られたらどうしようかと何度思っただろう。

いけないことだと思う。

父と同い年の男に愛されるなんて事実は、人に不快感を与えて汚らわしいと思われる。

事実、私は彼の姿に父を重ねていた。

これ汚らわしくなくて何であろう。

ちまたに溢れている商売だと思われたって仕方がない。

人に知られたらこの方の人生だってめちゃくちゃになるのだ。

男には立場というものがあるのだということを知らないほどに、私は子供じゃない。

駄目だと思う。こんなことは。

この方は私を幸せにはできない。

結婚などという終着点はない。

そこにあるのは破局だ。

あと、数年たったらお互い正気に戻って後悔するかもしれない。

将来性の無い関係ではしゃいでおられるのは、若さのせいだ。

それがなくなった時、私はどうするのだろう?

あの方よりうんと若い男と"確実な"お付き合いをするのだろうか?

この方の体が、私の肉体的な欲望に応えられなくなっても愛って持続するのかしら?

不安は尽きない。

けれど、やっぱり悦びには敵わなくて、ズルズルと引きづられて…冷静さもなく、惹かれ合って求め合う。

「今しか無いんだよ、俺には」

「私には、今じゃなくてこれからの方が大事なのよ」

私の言葉を聞いて、その方はふと悲しそうな表情を浮かべた。

ベットの上で足と腕を絡めつつ、顔だけはお互いを見据えて話をしていた。

小刻みに刻まれた皺が目についた。

骨ばった手が私の太ももに触れた。

カサついた皮膚は瑞々しさを失っていて、赤子のように白く張った私の肌との対比が痛ましかった。

目だけは異様なくらい輝いて、純粋だった。

私の目は、きっと黒ずんでいてこんな美しい光を宿してはいない。

この方の目だけは、少年のままなのだ。

そう思った途端、胸に愛しさがこみ上げてきて堪らなくなった。

目はより一層輝きを増した。

ああ、この方は欲しいのだ。

誰かにこうやって求められると私は、元来断れない性格だからこんなハメに陥ったのかもしれないと思い、自分を冷笑する。

その一方で、その方に愛される自分を知って胸が震えるのだ。

荒々しく唇を吸われた。

枯れ枝のような指が私の中に入り込んできて、楽器でも奏でるように動く。

お互いのすべてを感じ合う。

老いてゆく男のあがきと、無為に愛されなければ満たされない少女。

私の女の部分はこの方が一番最初に見つけてくださった。

だからこの方のもの。

私の裸の心だって求めているのだ。

彼と、同じように。

カラダだけは正直だ。

実感があって信じられる。

こうやって、お互いを確かめ合う術もいつかは駄目になる。

今だけ

今だけ

目をそらしている。



       ・・・完・・・

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