不機嫌な彼のカミナリ注意報2
「あの、風見さん。お忙しいところ、すみません……」

 休憩室でひとりコーヒーを片手にベンチに座る風見さんを見つけ、私はすかさずそっと声をかけた。

「なんだ?」

 急用なのか? とでも言いたげなその表情を目にすると、私の中の言いたい言葉が臆病風に吹かれてなかなか出て来ない。

「お、お煙草……最近吸ってるのを見かけませんね」

「煙草はやめた」

「え……いつからですか?」

「一週間前から。週末、家でも吸ってなかったろ?」

 そう言われればそうだ。
 週末にマンションにお邪魔したときも、風見さんは煙草を全く吸っていなかった。

 思い返せば、いつもリビングのテーブルに置かれていた灰皿も消えていた。


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