不機嫌な彼のカミナリ注意報2
「お前には敵わないな」

 おでこが触れたまま至近距離でそう言ったかと思うと、風見さんの顔が離れて元の位置に戻っていく。

「仲里と以前付き合っていたことは確かだが……いいか、お前が思い悩む必要はまったくない」

 だんだんと、言葉に覇気や力が戻ってきて。
 気がつけば、いつものエネルギッシュな風見さんが、そこにいた。

「俺は、お前に嘘はつかない。だからお前も俺を信じろ」

 なぜだかわからないけれど、胸の中に熱いものがこみあげてきて、ぶわっと一瞬で涙目になってしまう。
 言葉が出て来ない代わりに、私は勢いよく大きく首を縦に振って、今の気持ちを表した。

 大丈夫だよね。
 風見さんは“信じろ”って言ってくれたのだから。

< 226 / 299 >

この作品をシェア

pagetop