これは絶対に恋じゃない
第1幕



ーー今でもはっきりと覚えてる。



笑うと少し下がる目尻も、ふわふわのくせっ毛も。


そして、優しく握ってくれた手の温もりも…。



…っ、忘れなきゃ、忘れたいのに。



そう私は、一体何千回唱えたことだろう。


けど、結局、私は全部を忘れることなんてできなかった。




それは、きっと、彼と過ごした時間が、私の人生の中で一番強烈な思い出だからに違いないー…。



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