訪れた息苦しい沈黙の中、翔太が静かに言った。

「とりあえずチーリンは封印できた。あなた方のおかげです」

けれど衛兵達は肩を落としたままだ。無理もないと思う。あの伝説級の聖獣に出会(でくわ)し、手出しもできず、年下のあたし達に助けられてしまったのだから。

翔太は何を言うだろうと目を向けると、衛兵達を見渡してこう言った。


「あのチーリンが相手だったというのに、あなた方が立ち向かったから結界は壊れず、姫も無事だ。これはあなた方の功績です。勇敢に立ち向かえるあなた方だからこそ、ここの警護は任せられる。あなた方が担うべきだと俺は思います」


呆然としていた衛兵達が顔をあげて翔太を見る。


「一人じゃできないことだってみんながいればできる。その上あなた方は衛兵だ。城と王族を守ることが専門のあなた方が一致団結したらきっと強い。必ず姫とこの結界を守りましょう」


ぽつぽつと立ち上がる衛兵。悲しみと悔しさに満ちていた顔からは徐々にそれが抜けて、自信に満ちた表情に変わっていく。

翔太の言葉が衛兵の心を照らし出した。


「動ける方は二人組になって結界周辺に他に魔物がいないか確認してください。もし魔物がいれば他の組にもテレパスして応援を呼んでください。

動けない方は治癒魔法が使えれば回復を。王城の医療班にこちらに来てもらうよう俺が連絡しておきますのでそれを待ってください。

俺達は結界内に戻って姫の側近に現状を伝えてきます。また手強い魔物が出たら必ず俺がお手伝いしますので、すぐに連絡してくだい」


テキパキとした翔太の指示に、譲二さんは呆気にとられていた。

さすがはあの"サファイア"をまとめあげる当主様だ。人の心を照らして、何をすべきか明確に伝えることができる。すごいなあ、本当に。かなわないや。

そんなことをぼんやり考えていると、翔太があたしの膝裏と背に腕を回して抱き上げた。

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