最後の恋愛Ⅱ
プロローグ
俺の名前は大麦隼人

歳は28歳

大学卒業後就職したこの会社で、今は部所長なんて役職につく若手の立派なサラリーマンだ。

自分で言うのもなんだけど、顔は良い方だし背も一般的に見て高い方だ。

つーわけで、学生時代から未だかつて女に不自由したことなんか一度もない。

そんな俺が、仕事終わりによく行く穴場中の穴場、BAR「柊」で職場の女を初めて見かけたのは・・・、今からさかのぼる事、もう6ヶ月ほど前のことになる。

そいつの名前は森大和

俺より7歳年上だけれど、俺よりも歳若く見える小さい女だ。

はっきり言って、俺のストライクゾーンからは外れてる。

原因は3つ。

まず1つ目は、スレてなさそうなところ。

2つ目は乳が小さいってとこ。

3つ目は・・・付き合っている男の話を公共の場でしている行為について。

柊のマスターは俺の妹の旦那で、あの女はそんなこと知りもしないだろうけど、よく毎週末あんだけ男の話ばっかりできるなと思う。

「ムギ?」

マスターに声をかけられ、俺はちらりと顔を上げた。

「来てるよ、あいつ。」

分かってる。

いつもの席だ。

カウンターの右から3番目。

女友達と一緒に、話している内容まで此処に届いている。

「あいつ、まだ別れてないのか・・・。」

俺はため息交じりに呟いた。
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