とあるマネージャー

5月

五月になり、私も平野も学校に馴染んできていました。お互い同じ中学の友達は一人もいないところなので、周りは新しい人たちばかりでした。

楽しかったですねー人に関わるの。

さて、五月の高一と言えば遠足を思い浮かべます。私ももちろん行ってきましたが、平野はそこで事件をやらかしました。

平野たちの行き先は、隣の県の山の小川でした。そこのキャンプ場でカレーライスを作るという、大定番です。

ことの始まりは朝です。平野はクラスと部活が同じ赤木ちゃんという子と一緒に大きい駅へ向かったそうです。その駅からクラスごとにバスに乗っていくというものでした。

駅に着き集合場所に着き班員と席に着き、さあいつでもいける!というときにのどが渇いたので飲み物を求めにコンビニに出たそうです。

そこで平野が買ったものは1リットルのホワイトウォーターでした。

大きい牛乳パックにストローをさしたやつです。それを見た周りの子はちまちま飲むと思っていたのに、平野ったら普通に開けて口をつけて飲んじゃったんです。

いや、見慣れてる私はどうってことないんですが、初めて見たヤンキーちゃんたちは相当びびったらしいです。

ものの五分ほどで飲みきり、ゴミ箱にぶっこむ大人な服を着た美人は絵になったでしょう。

しかし問題はそのあとです。

途中のパーキングエリアでトイレにも行かず放置していると、それはそれは猛烈な尿意が後ろから殴りかかってきたのです。

もちろん最初は耐えていたらしいのですが、段々と量が増えているような感覚に襲われ、ダムが壊れかけていくのがひしひしとわかりました。

目的地まであと二十分。とうとう手で抑えたそうです。

そんな状態が恥ずかしくて、それでも漏れそうで、平野はその時すでに死ぬ覚悟を決めていました。

それでもなんとか到着まで耐え抜き耐え抜いて、ダッシュでお花を摘んだそうです。

「いやーあの時は本当に、もう学校なんてどうでもいいやって思ったからね。それでも、お父さんとお母さんの顔を思い出したら頑張れる気がして、汗びっしょりになりながら耐えたんだよ」

「これでわかったね。トイレ行きたいと思ったらすぐ行かなきゃダメだよ」

経験者は語るってやつです。

思い立ったらすぐトイレへ。
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