◆エピローグ
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午後の暖かい日が差し込むリビング。わたしはソファーに座って電話越しの相手にくすくすと笑っていた。

奈美と今度会う日を連絡していたら、話が盛上ってしまったのだ。

『本当、穂実ったら変わったね』

「そう?」

『変わったよ。でもいいなあ、わたしも合鍵をくれるような恋人が欲しいなあ』

「そういえば奈美、最近彼氏できないね」

『……もう、言わないで』

わたしは再び笑っていた。すると、隣に体重がかかってソファーが少し沈む。
わたしが視線を向けると――そこには唇の端を上げてこちらを見る特別な人。

『――そうだ、猫耳はどうなったの?』

「え……?」

『買ったよね? 猫耳! 早瀬さんつけてくれたあ?』

「えっと……」

『うん?』

電話の声、隣の人に聞こえていないだろうか。聞こえていたらとても恥ずかしい。だって――

「わっ……!」

『え、どうしたの?』

「あ、いや、なんでもない。ごめん、早瀬さんが呼んでるから切るね」

『ふふっ、はいはい。今日は一日中恋人の家だもんね? ま、た、ね』

奈美はからかうようにそう言うと、電話を切った。耳から携帯を離したわたしは、早瀬さんを睨んだ。

「やめてください、これ」

「何故? 似合ってるのに」

早瀬さんが意地悪な顔をしてわたしを見ている。わたしの頭には――猫耳カチューシャが。

「猫耳なんて鞄に入れて、お前は何をするつもりだったんだ?」

「…………」

そう。すっかり鞄に入れっぱなしにして忘れていて、これはなんだろうと袋の中から猫耳を取り出したところをばっちり早瀬さんに見られてしまい、こうなってしまった。

たまにからかってわたしに猫耳をつけてくる。

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