TRIGGER!2




 気がついたら、自分の部屋のベッドの中だった。
 いつもの如く、キャミソールとパンツだけで夏用のタオルケットを腹にかけている。
 だから一瞬、自分が何をしていたのか、今は何時なのか分からなかった。
 むっくりと起き上がり、そのままリビングに移動する。
 テーブルの上には携帯とコンビニのおにぎりと野菜ジュースが置いてあり、その横には。


『メシくらいちゃんと食えよ。ちょっと痩せたんじゃねぇか? 峯口♡』


 と、置き手紙があった。
 それを手に持ったまま、彩香はわなわなと震える。
 まさかあのエロオヤジ、酔って倒れた自分をここまで連れてきたのか?
 その上、ベッドに運んで・・・。


「・・・っ!!」


 彩香は慌てて手紙をクシャクシャに丸めて放り投げた。
 ゆっくりと息を吐き出し、携帯を手に取る。
 思ったよりも睡眠時間は長くはなかったらしく、午後10時を少し回ったところだった。
 まさか丸1日も寝てはいないよな、と、一応日付も確認してみるが、間違いなく同じ日付で、彩香はほっと胸をなで下ろす。
 取り敢えずソファに座ってタバコをくわえ、頭の中を整理する。
 新しいドアの確認。
 風間が峯口のパソコンを持ち出したから詳しい場所は分からない。
 解決するには、四階の住人を探して一緒に現地まで連れて行かなければならない。


「・・・・・・」


 彩香はポリポリと頭を掻いた。
 名前、年齢、本当の顔も分からず、何処にいるかもさっぱりだ。
 当然、本人との連絡手段はない。
 唯一本人だと見分ける方法は、首もとにある目立つほくろ。
 そんな四階の住人と彩香が最初に会ったのは、下のオカマバー“AGORA”だ。
< 32 / 206 >

この作品をシェア

pagetop