私だけの魔法の手。


ずーっとずーっと、どんな子なんだろう?って思ってた。
見たいような、見たくないような気持ちで、毎日毎日、お店の前を通るのを楽しみにしてた。


どうにかなりたいとか、どうにかしたいとか、そんな事は頭の片隅にもなかったし。
どうにかなるなんて考えるほど、夢見るような歳でもなかったのだ。




モデル?芸能人?とでも言いたくなるような、整った顔の男の子に釘付けになっていると、眼鏡の奥の瞳がふっと和らいで。



「こんばんは」

と、耳に届いた声は、落ち着いた男の人のそれだった。



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