*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
コロちゃんの言葉に全身の血の気がサッと引いた。

う……もう泣きそう。


「冗談!……冗談やで!」


笑うのを堪えているような複雑な表情のコロちゃん。

がーん……。

からかわれた。

今絶対、冗談通じないヤツ……って思われたよぉ。


俯いたまま差し出された黒板消しを受け取った。


するとコロちゃんは、例の男の子達の集団の方へと行ってしまった。


「オマエ、何やっとんねん!」

「つか、ありえへんやろ-?」


口々にそんなことを言う男の子達の声が聞こえる。


だけど、そちらを見る勇気はなかった。

くるりと体を反転させると、また駆け足でもと来た道を戻った。


廊下を走りながらも、さっきの光景と交わした会話が頭を巡る。

彼がどういう経緯で、黒板消しを拾うことになったかはわからない。

だけど……。

なんてかっこ悪いことしちゃったんだろう。

もぉ……ホントやだ。



その日以来、黒板消しを掃除するのはやめた。



そして季節は過ぎ……


いつの間にかクリーナーの故障は直っていた。

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