*スケッチブック* ~初めて知った恋の色~
あ……。

そう言えば。


わたしはシィ君の方へ向き直って言った。


「謝ってよ……」


「何?」


シィ君は不思議そうな顔でわたしを見つめる。

また、彼から目をそらしてしまった。


耳まで真っ赤になる。


「……あの事……。まだ謝ってもらってないもん」


小さな声でポツリとつぶやいた。

わたしの視線と様子から、シィ君も意味がわかったようだった。



「ああ……キスのこと?」



こくんと頷いた。


シィ君は「んー……」と一瞬考えこむ。


「謝らへんよ」


「なんで?」


今更本気で謝ってほしいわけじゃないけど……引くに引けなくなってしまった。



「だって、悪いと思ってないもん」


シィ君はそう言うと、座っていた机から降りて、わたしの目の前まで近づいてきた。

思わず無意識のうちに一歩下がってしまう。

するとまたシィ君が一歩近づく。


「キスしたかってん。ちぃちゃんに……」

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