俺様副社長に捕まりました。

本当の思いは

うそでしょ・・・
私はその場から動くことができなかった。
モスグリーンのパーカーに細身のジーンズ
レンタル屋で見かけた私が好きになった彼がマンションの入口の壁にもたれかかりながら
顔だけを私の方を見ていた。
数か月ぶりの水沢さんは前よりも少し髪の毛が伸びて・・・でもちょっと痩せたみたいだ。

何か言わなきゃいけない・・・
ごめんなさいって言わなきゃいけない・・・そう思うのだけれど
何をどう話せばいいのかわからず言葉が詰まる。
水沢さんはもたれかかった体を起こすとゆっくりと私に近づいてきた。

きっと怒ってる・・・・

私が勝手に仕事を辞めて彼の前から姿を消したことを責めるのだろう・・・
だけど私のすぐ近くで立ち止まった水沢さんは目を細めた。
「お前がいねーと俺・・・・全然だめなんだよ・・・・・」
水沢さんから出た言葉が私の胸の中を突き刺した。
「俺、
両想いだってだけで舞い上がってて・・・桃花の仕事とか気持ちを全く考えてなかったんだよな」
それは私も同じだった。
あの時の私も両思いだということに舞い上がっていた。
・・・・いつも凛として誰よりも努力する男らしさの塊のような人だったのに
私が言わなきゃいけない言葉だったのに
それを・・・彼に言わせるために私は彼の元をさったんじゃない。
規約に違反するとわかっていながら好きになって自ら望んで一線を越えてしまった。
だけど現実に戻った時、自分は単なる家政婦で住む世界の違う人を好きななるのは
お門違いだとわかった。
何も言わずに姿をけして竹原家政婦紹介所を辞めてしまったのは申し訳ないけど
副社長には副社長に見合った方を・・・それが正しいことだと思った。
それが自己満足だとしても・・・
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