俺様副社長に捕まりました。
「小野寺さん、こちら山岡物産の副社長でらっしる水沢尊さまです。」
「小野寺桃花と申します。よろしくお願いいたします」
所長は私と副社長が面識あることを恐らく知っているのに敢えて
初対面のように紹介するものだから私も右習えで初対面を装い深々と頭を下げた。
「こちらこそよろしく頼みますね。・・・・小野寺さん」
水沢さんまでもが初めて会ったかのかの様に笑顔で挨拶した。

っていうか何その笑顔。
私は水沢さんの笑顔に一瞬でドキドキが再発してしまった。
私の知っている彼はたしかにイケメンだがいつも難しそうな顔をしてて
笑っているところなど見たことがなかった。

「さて挨拶はそのへんにして本題に入りましょうか」
所長の一声で私たちの面談が始まった。

・・・だが面談というよりは水沢さんからの要望を聞くと言ったほうが正しかった。
だってそれをできませんと言える権限が私にはないのだから・・・
そして水沢さんからの要望というのは・・・・

1.掃除全般をお願いしたいが書斎の掃除はしなくていい。そして入室は禁止。

2.基本夕食のお願いをするときは前日に水沢さんが私のスマホにメールをする。
     何も連絡がない場合は食事の用意はしなくてよい。食事はできれば和食中心で
     お願いしたい・

3.個人的な質問は受け付けない。
  勿論水沢さんのお宅で家政婦をしていることは他言無用

以上の3点を守ってほしいということだった。
もっとすごい決まりがあるのかと思ったが特別難しことじゃなかった事に
ホッとした。

水沢さんから補足として夕食に関しては準備だけしてくれれば
自分が帰宅するまで待つ必要はないと・・・
って事は実際、水沢さんと直接会う事はほぼないということになる。

それなら何ら問題はないと
私は水沢さんとの契約書にサインをした。


水沢さんが帰ったあと再び所長に呼ばれた。
「所長なんでしょ」
「確認の為に言うんだけどね、依頼主と恋愛に発展した場合どうなる?」
「私は解雇される・・・ですよね」
「・・・そう。わかっているなら問題ないわ。あっ!それとこれに関しての補足なんだけどね、
恋愛が発覚した場合お客様もうちとの関係を白紙にするってことになってるの。」

補足といえば補足だね。
だって私があんな人と恋愛するなんて考えてもいなかったんだから。
観賞用よあれは・・・
だから所長がなんで恋愛にこだわるのかわからなかった。
それにさっきの話だとほとんど会うことはないんだから・・・
恋愛になんてなりようがない。

そして私は水沢宅の家政婦としてのスタートを切ることとなった。
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