俺様副社長に捕まりました。
「え?」
私はその封筒の中身を恐る恐る覗いた。
中には手紙のようなものが入っていた。
手紙には・・・・

「小野寺様

 今日からよろしくお願いします。
なにか不都合な事やお仕事に必要なものがあれば遠慮なく言ってください。
あと、目の前にあるボードの一番上の引き出しにお金が入ってますので
それで買い物などしてください。

夕食は竹原所長にも話をしましたが今日はいりませんが
明日はよろしくお願いします。

なにかあれがメールください。

                    水沢   」
と書いてあった。

なんか抜かりないよね~きっとモテるよな~~
私はお弁当の卵焼きを食べながら他人事のように手紙を読んだ。

結局その日は乾いた洗濯物を取り込むとアイロンがけをし
掃除がちゃんとできてるか最終確認した上で帰宅した。


それからは同じことのの繰り返しだった。
部屋の掃除に洗濯。
たまに頼まれたものの買い物
そして夕飯作り

今日で働き始めて2週間になるが水沢さんとはあの顔合わせ以来
一度も会っていない。
でもそれは私にとってある意味好都だった。
秘書から家政婦へ転身した事を後悔しているわけではない。
それこそ思った以上に自分に向いているとさえ思えたほどだった。
担当者が水沢さんだったということ以外わね。
やっぱり知っている人っていうのはいろんな意味でやりにくいんだもん。

だけどそんな水沢さんの事で新たな発見もあった。
それは私の密かな楽しみにもなっている。
それは1冊のノートだ。

直接顔を合わせない為
自分の仕事が相手に満足を与えているのかわからなかった私は
ノートを用意し、そこにその日やったことや夕飯の献立、わからなかったことを
書いてそれをダイニングテーブルに置いておくのだ。
次の日そのノートには水沢さんからの返答が書かれている。

その返事には
感謝の言葉と夕飯の感想が書いてあった。
まるで交換日記を書いている様で
水沢さんの家に着くと真っ先にこのノートを見るの。
今では私の唯一の楽しみになった。
見た目はそんなことするようには見えないのに
私の知らなかった水沢尊を知ることがほんのすこしだけうれしくおもった。
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