死にに行く。ナイフと馬人間と
小屋


僕は、バスから降りると海岸沿いの道を歩く。

夜の闇の中で多少は慎重になったが、段々と目が慣れてきた。


僕の降りた場所では誰も降りなくて駐車場には二台車が停まっていたが、雪を被っていてい人の気配はなかった。


僕は、駐車場から海に海に降りる階段をゆっくり歩く。


寒いなあと、呟きながら歩く。



古い革ジャンにパーカーでは、この雪の中では寒さが耐えきれず震えながら歩く。


バスの中では、少し暑いくらいの暖房が効いていた為にそのギャップもあった。


とにかく少しでも風や雪を防げる場所を探しながら思わず笑う。


「どうせ死ぬのにな。」


どうせ死ぬが、とりあえずこの寒さを少しでも軽減したかったのだ。


階段を降りると砂浜になっていて荒れた海が見え、そこからの風が強かった。


海からの風を受けながら震えて進むが、なかなか風を避けるような場所が見つからなかった。


しばらく、歩くと海岸に崩れかけた小屋があった。


古い網が小屋の上にかけられているのを見て僕は、漁師の為の小屋だろうかと考えた。


この辺りも昔は魚が捕れたと聞いた事があったような気がした。


古い小屋の入り口は、壊れているようだが一応閉まってはいた。


僕は、小屋の扉に手を掛けると力を込めて開こうとしたが、そんなに力を入れなくても簡単に開いた。

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