最後の恋にしたいから
デート
週末まで、会社では今までと何も変わりなく過ごした。

私は三課の営業サポートの仕事をし、課長は一課を仕切る。

そんないつもの時間を過ごしていると、週末の約束がウソみたいに思えてきた。

だけど金曜日の夜、ちゃんと課長から電話がかかってきて、それがリアルだと改めて確認したのだった。

「奈々子、明日覚えてる? 迎えに行こうと思うんだけど、10時でいいか?」

どうやら課長は、プライベートでは『奈々子』と呼ぶことに決めているらしい。

だからか余計に、仕事とのギャップを感じていた。

「もちろん、覚えてます。でも、わざわざ迎えに来ていただくなんて……。私が課長のマンションまで行きますから」

「いや、迎えに行くよ。奈々子のマンションは覚えてるから。じゃあ、また明日」

早々に電話は切れたけれど、どんどん緊張してくる。

本当に明日、課長とデートなんだ……。

一体、どうなるんだろう。

不安。
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