結婚してください

・・新しい命


夏の合宿以来、私は英輔とは会っていない。


けれど、英輔の希望通りにセキュリティ完備のマンションへと引っ越した。


そしてこれからは自由奔放な一人暮らしはさせてもらえなかった。


あの夏から3ヵ月後、季節はすっかり秋になってしまった頃、私は英輔の子どもを妊娠した。


体調不良が続いたことで病院へ診察へ行くと「おめでたです」と言われ、なんとも変な気分になってしまった。


あの夏の日、あの時英輔の子どもを授かったんだと、英輔の的中率の高さに驚きながら戸惑ってもいた。


独り暮らしの私が妊娠となるとこの先何かと不安になるもの。かと言って、正式な夫婦の子どもを中絶させることも考えられない。


藤堂家では待ちに待った跡取りとなる子どもなのだから。


それに、私の赤ちゃんなのだから。大事に育てたいという気持ちが日に日に強まる。


そして、そんな妊娠について英輔へ連絡を入れなければならないのだけど、これまで私の方から電話もメールもしていなかったこともあり、連絡一つに悩んでいた。


けれど、一刻も早く英輔に報告したかったし、妊娠が分かった時どんな顔をするのか見たいと言う気持ちも強かった。


もしかしたら、欲しかった跡継ぎが出来ても私との子どもにはそれほど喜びを見せてくれないのだろうか?
或いは、跡継ぎが出来た喜びだけで冷静な英輔がいるのでないだろうか?
案外、そっけない態度をとられるのではないだろうか?

こんなことばかり考えてしまう。


マイナス思考はもう止めなくては!と思っていてもやはり悩んでしまう。


講義を聴いていてもちっとも耳には入っていかない。


どうしたら良いのか気分が沈んでしまう。一つは悪阻が始まったこともあり余計に塞ぎこんでしまいたくなる。











< 158 / 442 >

この作品をシェア

pagetop