イケメン同期に素顔を見抜かれました
わたし



私は世間一般で言われるところの、

シスコン、という生き物かも知れない。




5歳上の姉は、いつも私の前を歩いていた。

成績もよく、いつも笑顔で優しい雰囲気の姉は、小さい頃から私の自慢だった。

少しドジで手先が不器用な所も、本人は嫌がっていたけれど、彼女の魅力のひとつだった。




私はずっと、姉に憧れていた。




ピアノを弾く姉の姿が輝いていて、私もピアノを習った。

姉の進学した高校に、私も進学するのだと思っていた。

姉のように、笑顔で素直な女の子になれると思っていた。




しかし、私には才能がなかったらしく、ピアノを弾くことが面白くなかった。

勉強が好きでない上に努力家ではない私には、姉の通った県内トップクラスの高校は届くはずもなかった。

内弁慶の私は、人に中々素直になることができず、周りからは「気の強い女の子」と見られるようになった。




だけど、そんな私を助けてくれたのも、姉。




「芽衣は私と違って運動神経もいいし、手先が器用で羨ましい」

私はピアノを辞めて、ソフトボールを始めた。

高校も、ソフトボール部のある学校を選んで頑張った。

家族に料理の腕を褒められ、大学は栄養学を学べる学部を選んだ。




ひとりでお買い物するのが苦手なことも、

食事するのだって、映画観賞だってひとりは嫌なことも、

本当はすごく寂しがり屋なことも、

姉はずっとわかってくれていた。

世界中で私の一番の理解者は、きっと姉だと思う。




そう思いながら生きている私は、

やっぱり世間一般で言われるところの、

シスコン、という生き物なのだろう。



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